ずいぶん前に手に入れた不思議な反物。
手触りは苧麻のよう。パリッとした手触りといい上布そのもの。
お店の主人は、「これは麻のように仕上げた絹の布です。真綿上布というものです」という。
この布のこと、以前のnazunaニッキにも記したことがある。
絹と言われても一見すると絹には見えない。
糸を燃やしたりして麻ではなく絹なのだなと分かるけれど、
これがどういう用途のものかも定かでない。このハリ具合から着用するものとは思えない。
面白い素材だけど古いので汚れやヤケや織りムラまである。
このままでは使えそうもないのでしばらく寝かせておいたもの。
ある日、思い立って実家の父に反物を送り、洗いに掛けてもらうようにお願いしてみた。
着物を沢山扱ってきた父もこの布は見た事がないという。
「練り屋に出して聞いてみるわ」
練り屋さんってなに?
染める前にまず反物についている糊を落として晒さないと染める行程には進めないので、
生地や糸の「精練」の仕事をしてくれる所(または職人さん)を「練り屋」と呼ぶらしい。
様々な布を扱う練り屋さんも「この布は見たことがない。麻だと思うけど」とはっきり分からない様子。
父の見立てでは、やはり絹のようなので麻ではく絹の処置をお願いしたという。
「反物を扱うプロの人たちも見た事がないなんて面白いなあ」とちょっと満足げな私。
きっとかなり古くて作られなくなって久しいものなのでは、と勝手に推測している。
練り屋さんの手によって、美しく生まれ変わった真綿上布。
染めにトライしてみようかな!!
どんなものが出来るか、ちょっと楽しみです。
july 2009 HPnazunaニッキより