以前、厳格な修道院を20年以上という長期にわたって交渉し、
ようやく1年を掛けて取材したというドキュメンタリー映画を見た。
『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』
フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトルーズ修道院。
創立以来900年の間、ほとんど変わることのない厳しい生活。
一人一人、個室を与えられて、
日々のほとんどの時間を沈黙と清貧と規律を守り、暮らしている。
(日曜日と祭日だけ談笑することが許される。厳しいー。)
修道院に入ってすぐの修道士に最初に衣服を与えられるシーンがある。
普段の生活で纏うローブやチュニックなどの衣類を賄う係の助修士もいて、
(助修士:修道院での暮らしを支える人達)採寸し、布を裁ち、仕立てていく。
きっと、中世と変わらぬやり方で。
ウンベルト・エーコ原作の「薔薇の名前」の映画
(ジャン・ジャック・アノ-監督、ショーン・コネリー主演)の世界と、
現代でも殆ど変わらないような。。。
厚手のフェルトのようなウールの生成り生地を、
フードつきのチュニックローブに仕立てていく作業も興味深く。。。
シンプルなカタチ、そして小さなポケット、ずっしりとした生地、
縫うこと、仕立てることも助修士の日々の勤めの一つであり、
沈黙のうちに仕立てられていく。
肉厚のフェルト生地のチュニックローブは見るからに重そうで、
それを着用して、ただじっとしたまま祈るだけで修行のようにも感じるけれど、
あの中世から変わらぬ暮らしの、静謐さと清貧の美しさが忘れられない。
ああいうチュニックやローブは暖かそうだなあ、なんて思ってみたり。
修道士の持つかばんや袋にも興味ある。
素朴でいながら、いつも肌身離さず持っていたくなる袋もの、仕立ててみたいなあとも思う。