カテゴリ:布のこと( 32 )

リネンを選ぶ

リネンで仕立てたバッグや衣服を愛用していると、

使うたびに、洗い込むごとに、

布の表情、仕立てた縫い合わせのところに、

どんどん味わいや風合いが生まれてきて、

さらに愛おしくなる感じ。

木綿も洗いにかけていくと、生まれる柔らかな風合いがある。

それも甲乙つけがたいけれど。。。

夏以外もリネンのシャツを纏う。

薄手の麻は二枚重ねて、

冬は羽織ものの麻をまた重ねて、

一番外にウールのコートを着込む。

空気をはらむ布を重ねると、

冬は特に暖かい。

少し厚手の麻は盛夏の頃には透けないので一重でも着られるし、

秋冬にはニットを下に着こんだり、カーデガンを羽織ったりも暖かい。


麻や木綿の品揃えが豊富な布屋さんで、

手触りのいい麻の布を見つけた。

一年を通して肌に心地よい麻や、

ざっくりした生成の麻も。

秋や冬にも着られる、ふわふわしたフランネル・リネンも見つけた。

ちくちく縫いながら、

出来上がりが楽しみになる。

少しずつ、少しずつ。。。








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by nazunanet | 2018-08-20 23:31 | 布のこと | Comments(0)

新しいアイテムのために

ただいま、ちくちくと試作中。

今日は夏のような日差しと暑さ。

まだ4月なのに!

もう完全に夏物を出してしまわないといけないかな。

でも明日はちょっと冷えるみたいだし。。。

なかなか調節が難しい季節。

とはいえ、年中リネンを着用。

肌寒い秋や冬には薄手のリネンを重ねてセーターやカーディガンを羽織る。

冬はシャツだけでなく、ガーゼのようなウールのニットなども何枚も重ねる。

重ねると、暖かい空気の層が生まれるので、

東京辺りの冬の気温だとダウンを着なくても済む。

(あのワシャワシャいう音と、
ミシュランのキャラのようなシルエットが苦手なのです。。。)


熱い夏でも、結構重ねるのが好き。

一枚だけだと、屋外と冷房の効いた屋内とのギャップで冷えそうだし、

麻のシャツやチュニックなど、

身体にぴったりさせずにふわっとしたものだと風をはらんで心地良い。

でも、インナーにぴったりしたキャミソールやタンクトップを着てしまうと、

麻の心地ち良さが半減してしまうので、

インナーも麻やリネンのものだといいなと思う。



昔は夏の暑い時期には、浴衣や着物の下に、

”汗はじき”という麻や苧麻などの粗目に織られた生地で

仕立てた肌着を着ていたようで。

それは肌に密着しないので、涼しかったろうと思う。

結構、ごわごわとしたものもあったけど、

昔は冷房も扇風機も無かった夏の時期には、

そういうのでも気にならなかったかもしれない。

インドのサリーなども極細番手のリネンやコットンの生地を

肌が透けないように幾重にも重ねて、風を感じられる衣服。

巻きつけられた布のドレープも美しい。


非常に極薄で、尚且つ、高密度に織られた生地などに出会うと、

もう頬ずりしてしまいたくなる。

でも、びっくりするくらいに高価だったりするので、

なかなか手が出ない。



新しいアイテムに向けて、良い布が見つかると良いなと思う。。。



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by nazunanet | 2018-04-22 13:13 | 布のこと | Comments(0)
HPのニッキの記事に、画像と文を更に追記。

苧麻、おお麻、南部麻などの布で袋ものを作る。

江戸期の南部麻(おお麻、ゴリゴリ麻)はまだハサミを入れていないけど、

是非、「麻の重ね」のシリーズとして仕立てたい。


日本のおお麻と韓国のサンベとくらべると、どちらも大麻布だけど、

韓国のものはモシ(苧麻)のような薄手に作られている。

柿渋染めのサンベ(大麻布)は日本の生成りの”アサ”にもよく合う。


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蚊帳として作られたという生成りの”アサ”。

大昔の手織のカヤ織りというのは、”蚊帳”ではなく、

植物の”カヤ”ではないのかな、と思うに至る。


江戸期の蚊帳と、

比較的新しい明治から昭和に掛けての蚊帳は、

織りや繊維の質が随分違っているように思う。



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これらの過去のアイテムは、
江戸期から明治・大正までのかや織りの生地で仕立てた小物入れ。
反物になった状態で骨董屋さんの棚に置かれてあった。
聞けば、江戸期のものだという。

”かや織り”と、”蚊帳織り”。

なんとなく同じものと思っていたけど、
江戸期のものという”かや生地”は、
いわゆる今でも”蚊帳生地として織られているものとは、
ちょっと違うものなのかもしれない。

古来から日本で”アサ”というのは
様々な草木から採取した繊維の総称をいうので、
もしかしたら、
大昔にはカヤを採取して繊維を採って、
績んだ糸で織っていたということではないのだろうか。。。

今でこそ、織り素材は豊富に手に入るけど、
江戸時代などは地方によっては資材に困窮していたところもある。
武士や裕福な商家や庄屋では上布の蚊帳を使うだろうけど、
衣服用の糸を自家栽培していたような農家はどうだったろうか。
上布などの着物に使う苧麻(カラムシ)を、
蚊帳のような日用の道具に使うだろうか、と思った。

原っぱや河原に無数に生えているススキや、
屋根材として使用した後の茅を、
繊維をなめして蚊帳として織っていたのじゃないだろうか、と推測。。。

素材や道具さえあれば、手間暇惜しまない日本人。
蚊帳の体裁を整えられるものなら
それくらいは簡単だったのではないだろうか。
繊維を採れるものなら何でも試していたのなら、
きっとあの長い長い茎をもつ、ススキや茅や葦も試したに違いない。。。

*かやは樹木のカヤではなく、イネ科の植物の”萱”もしくは”茅”。
映画「バンビ」に登場する、
ススキにぶら下がった小さなねずみの名前は”カヤねずみ”。(体長5センチ強!)


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この反物の”アサ”は比較的新しいもの。
それでも昭和初期頃のものと思われる。
使わずに保存されていたデッドストックの蚊帳生地。

最初はハリもあるし、粗目の織りなのでごわごわ感もある。
でも、使い古された江戸期のかや生地は、
ふんわりとガーゼのような柔らかさ。

袋ものにして大事に使い続けたら、
ふんわりとした手触りになってくるのかも。。。。

(画像の中で)下に置かれた生成の上布は江戸期の紋付の夏の着物。

生成の地に、家紋だけを染めている。

紋様の丸い円の枠を藍染めの紺と
家紋の松の紋様を浅葱色、
丸い紋の中の地色は精錬された”真白”、という色合いが絶妙で。。。

現代では夏の麻(上布)の着物に無地の生成なんて殆ど見かけないけれど、
あえて精錬もせず染めもせず、
家紋にさし色を入れるのが洒落てるなあと思う。
(後日、画像をアップしたいと思います)

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(左:生成上布。右:蚊帳生地。)


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そんなかや生地を使ってポーチや小物入れを仕立てたのが、

自分でも結構気に入っている。


プリミティブな風情を残したまま仕上げた袋ものなんて、

作るのはウチくらいなんじゃないかと。。。


おお麻や南部麻、昔の苧麻なども、

そんなプリミティブな風情のものを作りたい。


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by nazunanet | 2018-02-13 21:03 | 布のこと | Comments(0)
袋もの材料にしようと思って仕入れた着物や羽織や半纏など、

解いてしまえるものと、長いこと解けないままのものがある。

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東北の太い麻糸で織られた野良着や半纏など、
穴が開いていようが、痛んでいようが、
これを解くのは許されないんじゃないか、という気持ちになってくる。


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東北のおお麻の野良着。

穴の開いた風情まで、存在感が光っている。

手縫いのザクザクした縫い目にも、

洗いを重ねてアタリの出た藍染の色の妙が出ていて、

神々しいものにすら感じてしまう。
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by nazunanet | 2018-02-13 20:31 | 布のこと | Comments(0)
幕末武士の羽織。

やっと画像をアップしました。。。



何度も丸洗いを重ね、だんだんと本来の色が現れてきて。。

あの何色とも分からない色、

柿渋染めなんだか、深緑色なんだか。。。

というのが全て汚れや泥だった、という。。。

元の色は、なんと鮮やかな花田色。

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(洗いを重ねて、少々色落ちさせてしまったので浅葱色か。。。)

見違えるような爽やかな色を取り戻した羽織、

木綿だと思っていたけど、30倍スコープで覗いたら、
苧麻の緯糸と木綿の縦糸の交織りと分かった、というのが前回のこと。

骨董屋さんが「下級武士の羽織」と言ったわけは。。。
鮮やかな花田色に、こっくりした褐色の羽織紐。
この爽やかな色合わせの品の良さ。
それと、羽織の袖の長さがよく見かけていた平民の羽織と違って、
少し長めのようにも感じる。
ふわっと、たっぷり生地を使って仕立てられた感があり、
どこか若侍が着ていたもののような風情を醸し出しているような。。。(想像)

そして上級武士なら羽織に家紋は必定だろうし、
素材も単衣なら上布や葛布で仕立てるのでは、とも思う。
(葛布は和紙のように折り目がキッチリ出るので、お武家好みとのこと)

それにしても、幕末の武士の羽織。。。
激動の時代を歩んできたであろう藍染の羽織。
元の色が分からないほど泥だらけになった羽織は、何を見て来たのだろうか。。。

明治維新後は、失職した武士たちの怒濤の幕開けとなったろう。
布一枚、着物一枚に歴史を感じ、
ご先祖ルーツにも想いを馳せる。。。 

去年、鎧姿の戦国武将のご先祖さまの夢を見た。
黒髪ロン毛の額に、きりりと巻いた白い帯。
軍配か、白い房のようなものを手に、戦の野営幕の中で座っている姿。

戦国時代の山城の城主。
織田信長側だったのを本能寺の変で明智光秀に率いられ、
秀吉に破れた後、
流転の中でも京都で武士として、脈々と生きたご先祖方の逞しさ。

明治維新後は世の流れで武士から一転、裸一貫から商人となり、
その跡を継いで明治から昭和中頃まで曾曾祖父から祖父らが、
大阪でメリヤス貿易&メリヤス工場を経営して大奮闘。

大阪の西区の靫公園はご先祖が設立した会社の跡地が
後にそのまま公園になったと聞いた。。。
昭和になって土地を軍の用地として接収されたようだけど、
かつて会社と工場があった敷地にはトロッコが走っていたのだそうで。。。
糸の中国などとの対外貿易の取引価格は曾祖父が頷かないと
取引が始まらなかったというのを聞いたりも。。。

布や着物に携ろうなどと考えたことも無かったけれど、
小さい頃から布や着物に触れてきたのが、
今の薺nazunaに繋がっているのかな、と思う。。。
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by nazunanet | 2018-02-13 20:26 | 布のこと | Comments(0)

幕末武士の羽織 その2

深緑と黄土色が混ざったような何色とも分からなかった羽織が、

何度も何度も洗いを重ねて汚れと泥が取れ、

鮮やかな縹色の藍色に蘇った。

汚れを落とそうと、多少、洗いすぎた感もあるけれど。。。

乾かしたあとアイロンを掛けていたら、

「これは木綿じゃない」

ということに気づいた。

木綿はトロッとしてくるけど、パリッとした手触りがある。。。

30倍のルーペで覗くと、

経糸が木綿、緯糸は苧麻のようだ。

最初、葛の緯糸かとも思ったけれど、

布の耳が葛布の交織とは明らかに違うので、

これは綿と苧麻の交織りのもの。


汚れていたときは、「なぜ、これが”武士の羽織”というんだろう」と。

「商人や農民のものではないのは何故か」と思ったけど、

乾かして、アイロンを掛けて、外してあった羽織紐を結んだら、

これはいかにも武士のもの、としか言いようのない風情。

高価な作りでも家紋もないので、下級武士のものだろうけど、

縹色、もしくは浅葱色が本当に爽やかで。

襟幅が広いことや、袖のたっぷり感、

そんな羽織の姿カタチ侍のものだということが明白に感じる。。。

汚れが取れないときは、半ば捨て鉢になっていたけど、

処分しないで良かった。

こんなことってあるんだなあ。。。

宮崎駿の「千と千尋の神隠し」に出てくる、

湯屋で綺麗になった川の神様、という感じ。(笑)


(今度画像をアップします。

あ、ビフォーの画像は残していなかった。。。)





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by nazunanet | 2018-02-06 13:01 | 布のこと | Comments(0)

幕末武士の木綿の羽織

01. 師走(THU) くもりのち雨


ずいぶん前に手に入れた木綿の羽織りがある。

幕末の武士が着ていたものだ、と言われて物珍しくて購入したものの、

家に帰ってよくよく見たら、かなり色が変色していて状態が悪い。

「しまったなあー」

仕入れに失敗した、と思って、袋に入れて収納棚に置いておいた。

あとで洗いに掛けよう、と思いながらすっかり忘れてしまっていた。


今年になって、棚の整理をしていたら、

どこかで見覚えのある袋に入ったままの古い羽織。

出してみると、何色に染めたものなのか、

さっぱり見当がつかない色合いの木綿の羽織。


ちょっと洗ってみよう、と、

ぬるま湯にセスキ粉末を溶かしたものに浸け置き、

その後、純石鹸と酵素漂白剤を溶かしたもので丸洗い。

念入りに念入りに。

洗えば洗うほどに、藍の鮮やかな色が顔を出した。

 

あれま、これは藍染めだったか。。。

 

最初はお年寄りの下級武士が着ていたのかな、というような暗い地味な色だったのに、

これでもかというほど念入りに洗ってみたら、

鮮やかな花田色の藍色が現れた。

若いお侍さんが武道に励む姿をイメージしてしまうほどに、鮮やかな青。。。

でも家紋がないので本当に武士の羽織かどうかは分からないけど、

もう捨ててしまおうかと思ったほどだったので、

見違えるようになって良かった。。。

 

勿論、経年の木綿なので、色褪せも穴開きもあるけれど、

風情のある木綿の羽織に生まれ変わって本当に嬉しい。。。


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by nazunanet | 2018-02-03 22:20 | 布のこと | Comments(0)
江戸期の大麻布の画像をアップしました。

(大きいサイズになっていたので重かったと思います。失礼しました。)



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ゴリゴリ麻という名の通り、本当に野趣溢れる手触りと、

織り糸の野太い感じ。

青森、津軽の厳しい寒さの中、

この布で仕立てた着物、半纏、野良着を穴が空くまで

大事に使っていたもの。



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布を当て、また豪快に空いた穴もそのままに。。。

どれほどボロになっていても、ハサミを入れることが出来なかった。

薺 nazunaを始めてすぐの頃、

買物してくださったお客さんとメールでやりとりしている時、

「薺さん、らんる=襤褸っていう言葉、聞いたことありますか?」

「いいえ、聞いたことがないです」と私。。。

当時はこういった襤褸や刺し子や野良着への興味も知識も、

樹皮で織った布など古代布のことなど、

何も知らなかった。



ただ布に惹かれ、布に触ってるうちに、

無我夢中で始めた薺nazunaのお店。

お客さんとのやりとり、布を好きな人とのやりとり、

色んな方から、様々な教えを頂いて、

布好きの一人として、ここでやらせて貰ってるな、と思う。

感謝!!


そして、大好きになった大麻布、南部麻、ゴリゴリ麻ともいう布。

洗いを重ねれば重ねるほどに、

トロトロ、ふんわりとガーゼのような肌触りになってくるという。。。


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しっかり織り込まれた糸。

手織りの証の布の耳。


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糸の繊維の様子がよくわかるように、撮りました。

一度手織りしてから、紺屋(藍染め職人)さんのところへ出して、

着物や半纏に仕立てていく。。。

糸から染めるのは、自家用の藍甕のある家だったのかな。。。



これで、大切なものを仕舞うための袋物を

仕立てたいな、と思います。






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by nazunanet | 2018-02-03 19:13 | 布のこと | Comments(0)

江戸期の藍染め大麻布 

ゴリゴリ麻、という麻生地がある。

普通、麻というとリネン、亜麻だけど、

日本古来からの麻は亜麻ではない。

”アサ”と呼ぶのがいいのかもしれない。

長い繊維が取れる植物なら、何でもなめして糸にして、

手織りして着物や日用の布に変えなければならないほど、

大昔の日本では糸も織り布も貴重だったという。

なので、”アサ”と呼ばれる布は、

様々なものがあるようだ。

和紙に使う楮(こうぞ)やカラムシと呼ばれる苧麻も、

葛の布も、藤の木の樹皮の繊維をなめした藤布、

しなの木の繊維のしな布も。

また、和紙そのものも布にした、長門という布もある。。。

そんな中、最も重宝されたのが、

おお麻の繊維から作った大麻布と呼ばれるもの。

現代では”ヘンプ”と呼ばれる大麻草の繊維を糸にして織ったもの。

厳しい環境でも大きく育つので、

東北地方で綿花の栽培が気候に適さず難しい土地では、

もっぱら大麻布が衣類や日用の布として活躍していた。

第二次大戦後に栽培を禁じられてから、

衣料品の素材として殆ど国内市場から消えてしまった。


薺nazunaを始めた頃、骨董屋さんでこの布に初めて出会って、

風合いと手触りに心を奪われてしまった。

ゴリゴリ麻、と聞いて手に入れたものの、

栽培された土地の気候風土にもよるのか、

色んな手触り、色んな織りのものに出会ってきた。


糸を績んで手織りして、紺屋と呼ばれる藍染め専門の職人に

染めをお願いしたり、

または自家用で藍染するのが通常のようだけど、

ある時、全く染めていない生成の大麻布の反物に出会ったことがあった。

それが「南部麻」というものだと教えられ。。。


この手触りこそ、まさに私が一番最初に出会った、

あのゴリゴリ麻の染める前のものなんだ、と思った。


南部というのは、今の青森県の南津軽、

南部地方で織られた大麻布、ということなのだそう。


それ以来、同じ大麻布でも、

東北の中でもそれぞれに手触りが違うような感じもするし、

繊維のなめし方、糸の績み方、

織り手によっても違うだろうし。。。

同じくおお麻の繊維で織った”対馬布”もある。

九州、対馬地方で織られた今では完全に廃れてしまった布。

東北や南部麻が藍染めの無地なら、

対馬布は縞の柄に織り上げる。

糸を生成りのものと、藍の濃淡に染め分けたもので縞を織る。

東北の大麻布は藍染一色の上から、

細かに白い糸で刺し子して紋様を描いていく”こぎん刺し”。


どれも美しい古来からの布。


ただ、何も飾らない、無地のままの、

使い込まれた藍染の大麻布が、

まるでビンテージデニムのように、

ところどころに色枯れや褪せ、穴の繕い跡などのある、

そんな大事に使われた痕跡のゴリゴリ麻に、

なんとも言えずに魅了されて。。。


薺 nazunaを始めてから、少しずつ見つけてはカタチにしてきた。

どこへ行けば必ずある、というものでもなく、

初めてゴリゴリ麻のことを教えてくれたお店の方も、

「もう、あれは無いね。殆ど見かけなくなった」と。

見つけたら取っておいて、とお願いしていたら、

「これで最後かな。もう、これだけのものは出てこないと思う」

と出してきてくれたのが、江戸末期のものだという。

(画像は後日アップします。。。)


穴が幾つも開いた布は、半纏を解いたもののよう。

そこかしこに、当て布した繕いのあとも。

これほどのダメージと大穴が幾つも空いても尚、

解いて、補修して当て布して繕って、

また仕立て直そうとしたものなのか。

もっともっと繊維がトロけて着物に縫えなくなったら、

夜具、そして敷布、そして雑巾になっていったのかもしれない。


貴重な大麻布。

これを手に入れた当時、一度洗ってつづらに仕舞っておいた。

ハサミが入れられるようになったら仕立てよう、

それまでは、と。。。


そろそろ、仕立てる準備が出来た、という自負もある。

畳んで仕舞っていた大麻布=南部麻を、

たっぷりの水に浸す。

わずかに泥の残ったような江戸期の古布を、

もう一度ざぶざぶと何度も洗う。



大昔の泥は本当に美しい橙色のような土の色と、

芳香と呼びたいような、何かさわやかな香りがする。

現代の泥は、ガソリンやオイルの混じった真っ黒な泥だから、

純石鹸では簡単に落ちないと思う。

洗って濯いでいるうちに、フレッシュな藍染めの香りが漂ってくる。


こんな大麻布にはなかなか出会えない。



そして、こんな大麻布を是非とも袋物に仕立てたいと思う。。。















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by nazunanet | 2018-02-01 21:24 | 布のこと | Comments(0)

今週はひたすらチクチク縫う日々。

去年はあまり製作が進まなかったので、

今年は精力的に色々やっていきたいと思ってもいる。

気持ちは高まっているとしても、作業は一針一針、と確実に進めていく。


前に、状態の良い藍染の厚手布を見つけたので、

これでずっとバッグを作りたかった。

現在市場で出回っている帆布よりも織り目が詰まっていて、

薄手ながら丈夫でしっかりとした後染めの藍染め木綿。

(藍染布は、糸の段階で染めて織られたものや、

生成り糸で織ったものを晒してから藍染するものなどある。)

タイプライタークロスのような密な織りの布を、

殆ど黒に近いほどに繰り返し染められたもの。

その手間を考えると今では容易に手に入らないものだと思う。

 

薺nazunaを始めてから、このような藍染布はあまり見たことがなかった。

古布は基本、着物や半纏に使われていたものが多く、

そういう衣料用に織られたものを解いて、

または解いた反物やハギレを袋ものに仕立て直すけど、

この厚手木綿は、衣料用とは違う、別の用途で作られた布だろう。

道具や大きな荷物をまとめる際に使った大風呂敷なのか掛け布だったか。。。

そういう日用の道具のものは、衣服と違って酷使されることが多く、

状態の良いまま残っているものは少ない。

同様に、醤油や地酒の仕込みで使われる酒袋も、

古布の市場に出回る頃には布自体にダメージがあるものも少なくない。

美しい艶と味わい深いこっくりとした色が魅力の酒袋だけど、

はっと目をひく色艶と、布自体の状態も良いものが手に入ることは

なかなか無いので、見つけたらとても嬉しくなってしまう。

そんな酒袋も、元は白い生成りの厚手木綿の生地。

もろみや麹などを仕込む際に、抗菌として柿渋で染めて使用されて、

年月と酒やしょうゆの成分が天然の染料となって、あの色と艶が生み出されたもの。

この厚手の藍染布も、そういう酒袋用の厚手布を製造していたような

織り元が作ったものなのかもしれない。

藍染で染められたものは虫が喰わないというので、

防虫用に染めて使われたのだろうか。

 

何にしてもそれを手に入れた時から、まずはバッグを仕立てようと決めていた。

厚手のものと、しなやかな布、2種類の藍染の布を使うことで、

それぞれの布の手触りの違いや良さがはっきりと感じられるように。

 

内布には(やっと見つけた!)、

薬品を使わずに昔ながらの力織機で織られた木綿の布。

オーガニックの綿から糸を紡績して織られたもの。

通常では糸を機械で織るときに滑りの良いように切れないように、

薬品や糊をつけて織るのがセオリーの業界の中、

薬品は一切使わずに切れ易いならゆっくりと織れば良いと、

年輩のご夫婦二人っきりで切り盛りされて織られている布。

(奇跡のオーガニック木綿と心の中で呼んでいる。)

 

バッグの内布に使うために、昔に織られた生成りの麻や木綿のデッドストックを

探して仕立てることにしていたので、労力も時間も掛って大変だった。

でも、このオーガニックの生成り生地を見つけて手を触れたときに、

「なんて柔らかくて心地良いんだろう!」と驚いて、

製造工程のこだわりを知って、更に感激して。。。

この布が手に入るから、もうデッドストックの生成り生地を探さないでいいんだ、

と安堵したのは勿論のこと。

 

布は、生成りの状態が一番布の質を確かめられる。

染めると若干染料が載るので多少ゴワゴワするし、

白生地も、自然のままのものを白く漂泊するので生地の手触りが違ってくる。

 

小物入れは特に、大切なものを仕舞ったり、

いつも肌身離さず持っているものとして使うので、

手にしたときの心地よさを重視して素材選びしているので、

バッグや袋ものも手にしたときに、

それこそ細胞が喜んでくれるものを作りたい、とも思う。。。(オーバーな?)


でも、確かにこれまで薺nazunaでご注文して下さったり、

代官山のSTORさんで実物を手にされたお客さまの反応は、

本当に心から喜んで下さって、

(今は実店舗を閉店されたけれどweb shopオープンしてます)

当時、storさんは、

「薺nazunaの商品を気に入って買っていかれるお客さんは、

他の商品を買っていかれるお客さんとは明らかに全然違う反応をされる」

とビックリしたとおっしゃって下さった。(感謝!!)

 

それは”物との相性”というのもあるからだと思うんだけど、

薺nazunaで意図してこだわっている部分が、

お使い手の方の好みとドンピシャと合ったときに、

きっと相乗効果で嬉しくなるのかもしれない。。。

 

薺nazunaでは大量に作れないけれど、

他にはないような珍しい素材や質の良い素材を少しずつ手に入れて、

少しずつ作っていく。。。

(物理的に自分でデザインして自分で作るので当然といえば当然なのだけど。。。)

いいなと思う素材を見つけて、是非、これで作りたいと思うものをまず作る。

そういう素材は、ほんの少しずつしか手に入らないので、

一気に布を使い切って作ってしまうことは、まずない。。。

一度仕立てて、今度は違う素材同士を組み合わせたり、

またはアイテムを変えて、その素材をゆっくりと、味わいながら使って仕立てる。。。。

つくる度にその素材の良さを引き出させてあげられるといい、と思う。

 

新しいアイテムの完成まで、もう少し。。。


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by nazunanet | 2018-01-25 23:50 | 布のこと | Comments(0)

「袋もの屋 薺nazuna」と「nazuna_antique」作家兼店主の日々のあれこれ。布のこと 麻のこと Antique FOOD 古道具 手仕事する人々のこと 


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