2018年 02月 28日 ( 2 )

山桜の前飾りを彫る

前飾りや留め爪などを彫刻刀で彫る。

材はやっぱり山桜が薺 nazunaの定番。。。

色々な材を試してもみたけれど、

品の良い木目と木肌の色、目の詰まった丈夫さと、

何より、特に何もせずとも月日が経つうちに増してくる色と艶。

そして桜の花が大好きだというのも一番。。。

そんなわけで、留め具は山桜の材を使うことが多いのです。



山桜の皮つきの端材は、都内ではなかなか手に入らない。

材木屋さんで桜の端材を見せてほしいとお願いしたら、

思っていたものと全く違うものがやってきた。

「これは桜ですか?」

「そうですよ。サクラです。」

「・・・桜って、山桜の桜ですよね?」

「山桜じゃないです。

これはね、樺です。樺のことを”サクラ”っていうんですよ」

材木屋さんで「桜」というと、白樺などの樺の木のことをいうそうで。

「山桜が欲しいんですけど・・・」

「うちにはないなあ」



薺nazunaを始めて少し経った頃、

乾燥させていた桜材の在庫が底をつきかけていて、

また仕入れようにも、なかなか見つけられなくて困っていた。

山間部界隈の木材屋さんなら、

間伐採などで薪用に売ってるかもしれない。

地方の木材屋さんの所在地をネットで探したり、

電話して聞き回ったり。

運良く何十年も乾燥させた材を売っているお店を見つけることが出来た。


北海道の山で間伐採した材(といっても10年は乾燥しているけれど)は、

少し白っぽい。

仕上げのオイルを塗布して磨いても、白さはそのまま。

そういう材は”白うさぎ”の前飾りに使っている。

何年経ってもキリリとした色白な肌艶は、

北の大地で育った山桜の色なのかも。


島根の何十年も乾燥させたものは木肌の赤味が濃い。

仕上げのオイルで磨くと、一層色が深く濃く出る。

それで”瑞雲”や”龍雲”のカタチに彫ったり、

網代紋様や鱗文様を彫ったりする。



布と木、革、金属など、

異素材を組み合わせるのが薺 nazuna好みの袋もの。

また留め具を彫って、

布に合わせていこうと思います。





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by nazunanet | 2018-02-28 17:38 | 薺nazunaの手仕事 | Comments(0)

懐かしのロシアンティー

上京した当時、住んでいた学生専用のハイツ。

敷地の中に4棟ほどのアパートが建っていて、

別段、大学の寮でもないのに、何故かそこの住民全員が仲が良くて、

いまのシェアハウスのはしりのような。

時々集まって鍋パーティーをやったり、夏には公園で花火をやったり、

何かしら自然と集まって話しをしたりお茶を飲んだり、

隣の住人のお姉さんと早朝に一緒にジョギングをしたり。

本当に楽しかった。

最年少だった私は諸先輩方に妹分のように親切にしてもらって、

東京の土地勘も何も全く無かったので、

色んな美味しいお店を教えて貰ったり、連れてって貰ったり。

そんなだったので、ホームシックになる事も無かったなんて、

本当に幸運だったなあと、今思い返してもつくづくと。。。

中でも、今でも忘れられないのが、

小さな喫茶店の自家製ロシアンティーとパウンドケーキ。。。


アパートのメンバーで集まったとき、

「美味しい紅茶を飲みに行こうよ」と誰かが言い出し、

ワイワイと車で出かけた。

(当時の土地勘の無さで場所が分からない。。。)

大通りから小道へと入って路地の角にあったように記憶してる。

山小屋のような、レトロなこじんまりした喫茶店。

遠い記憶の中では、スズキコージの絵に出てくるような(笑)、

はたまた、絵本「三匹のくま」達が暮してた小屋のような、

そんなイメージ。

今のようなお洒落で隙の一切無いような清潔感溢れるカフェじゃなくて、

ガラクタや本や何もかもが雑多な中に混在しているような。。。

小さなランプの灯りがともしてあって、

雑多だけど、暖かみと落ち着ける雰囲気のある喫茶店だった。


店に入ると、「この店で最高に美味しいのはコレ」と教えてくれたのが、

マスター特製のストロベリージャムがたっぷり入ったロシアンティー。

ジャムが苦手な私が一口飲んだ途端、びっくりするくらい美味しかった。

そこで一緒に食べたレーズンとナッツがぎっしり入ったパウンドケーキ。

それもマスターのお手製だったと思う。

(こんな美味しい紅茶とパウンドケーキ、食べたことない・・・)

と思った。

あまりの美味しさに感動して、

その後、何度か自分で買って来たジャムを紅茶に入れてみたけど、

何度試してもあの味とは全然違う。。。



その後も、時々、カフェや喫茶店に入ったときに、

メニューにロシアンティーがあると頼んでみたりするけれど、

やっぱりあの時の味にかなわない。


当時、学生ばかりが集っていたアパートだったので、

あの時の詳しいことを尋ねられないまま、

皆、卒業と就職やらで次々と住人同士のサヨナラがあって、

時が過ぎ。。。



遠い遠い、かすかな記憶を辿ると、

お店へ向かう車の中から、

暗闇の中に浮かび上がる異様に高いノッポの煙突が見えたっけ。。。

高井戸界隈にあった焼却炉の煙突の風景だったと思う。

当時、大阪にはそんな巨大煙突を見たことが無かったので覚えてる。


高井戸だったかな。。。

荻窪?西荻。。。?

記憶を辿ろうにも、当時は上京したてで皆目土地勘もなかったので、

どうしても場所が分からない。。。

あのお店の名前も、場所も、殆ど覚えていないのが残念。

でも、もしまだ続いているなら、

誰かがお店を引き継いでいるなら、

もう一度行ってみたいと思う。。。


今でも紅茶を飲むと、

時折、あのとびきり美味しいロシアンティーの味がふと蘇る。。。

忘れられない思い出の味。






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by nazunanet | 2018-02-28 00:42 | 日々のあれこれ | Comments(0)

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