京都の錦市場の有次。
包丁を有次でいつか購入してみたいと思いながら、
我が家には愛用のものが幾つもあるし、
台所道具は毎日使いこんでいく楽しみというものがあるから、
そうそう何本も包丁を持っていたって仕方がない。。。
それに有次は京都に行かないと購入できないんだし。。。
と思っていたけれど、
電話で通販希望と問い合わせると、無料でカタログを送って頂けるようで。
最近は大きな鋼の包丁がどうも手首に痛くて使い難くて。
切れ味鋭いペティナイフなら、
手に力をこめずとも、スッと気持ち良いほどよく切れるのでは。
ということで、自分なりに道具を新調する大義名分が出来たので、
早速注文することに。
ペティナイフは鋼のものの他に、
”平常一品”や”和心”といった一般家庭向きのものがあるとのこと。
ステンレスで鋼の刃をサンドしてあるので表面が錆びにくいらしい。
いやいや、せっかく有次で包丁をオーダーするのだから、
ここは鋼の”特製”のペティナイフを注文しないことには。。。
我が家にも勿論、ステンレスの包丁はある。
若い頃に二人それぞれが独身時代に揃えた包丁が残っている。
濡れたまま置いても錆びないので便利かもしれないけど、
やっぱり切れ味、使いこまれていく美しさと言えばやっぱり鋼に限る。
鋼は錆びるっていっても、使ったらすぐに洗えば大丈夫。
布で水気をすっかり拭いてしまえば錆びることなんてない。
私はもうクセになっているので面倒でも何でもないけれど、
やはり思い返すと、初めて使い始めた頃は確かに面倒ではあったかもしれない。
木屋で鋼の包丁を購入したとき、
担当の店員さんが洗い方から研ぎに至るまで手入れの仕方を丁寧に教えて頂いた。
それをずっとやり続けてきたので慣れると何ら面倒でも大変でもなく、
自動的な作業になっている感じ。。。
良い道具を使うためなら、やはり手入れは必要不可欠なのだもの。
そんなこんなで、
ペティナイフは鋼に決めたけど、
さあ、あとはサイズ。。。
15cmと12cm。さあ、どっちにするか。
有次ユーザーの方のブログを読んだとき、
ペティナイフは15cmが断然お勧めと書いてあったけど、
それは男性ユーザーのお話し。
私は女性で、おまけに小学生並みに手が小さい。。。
いつも使っている立派な鋼の木屋の包丁がつらいのも、
手が小さい上に最近手の筋力が落ちてきたせいもある。
それならもうペティナイフは12cmで決まりでしょう。。。
送って頂いたカタログには夢のような料理道具、台所道具が勢ぞろい。
どれも見ているだけで胸が高鳴る。
10代の頃からお小遣いやバイト代が入ったら、ティーセットを揃えたり、
ケメックスや手回しコーヒーミルを買ったりと、
洋服や化粧品、アクセサリーよりもキッチングッズに眼がなかった。
高校生の頃に好きだった雑誌は「暮らしの手帖」や「クロワッサン」だった。。。
有次のカタログにあるプロの料理人が使う包丁の写真をワクワクと見ていると、
その中にちょこんと肥後守があった。
「あれ、こういうのもあるんだ・・・」
最近、彫刻刀での木彫をお休みしている。
彫る方の右手は問題ないのだけど、支える方の左手がどうも良くない。
彫る力が内側に向くせいで、手の平や肘を痛めてしまった。
でも、肥後守なら鉛筆を削るようにするので、
削る力が外に逃げていく。
これなら、最初の力を使う荒削りの作業が楽になるかもしれない。
そう思って、肥後守も注文することに。
ファックスで名入れの刻印もオーダーしたら、
あっという間に届けてくださった。
二つの包みを開けるときのワクワク感が半端ない。。。
有次のペティナイフと肥後守。
裏には名前もちゃんと入ってる。
これがやってきてからというもの、毎日のごはん作りがどれほど楽しいことか。
ガーリック、マッシュルーム、プチトマト、
いつもの食材を切るときの気持ち良さといったら!
小気味良いとは、まさにこのこと。
届いたときのペティナイフの刃の輝きはまるで日本刀のように美しくて。
その輝きを曇らせたくないとばかりに、
使い終わったらすぐに石鹸洗剤で包丁を洗う。
洗剤で洗っただけだと刃に食材のアクがついて、ところどころ黒っぽく曇る。
クレンザーをスコッチブライトの不織布タワシにちょっと取って、
包丁の刃に一方向でサッサッと磨く。
肉や野菜を切ったときに付いたアクなどがすっかり取れてピカピカになる。
これをやっておくだけで、新品の時と変わらない輝きのままで使い続けられる。
ちょっと曇ってきたら砥石で研いで、またクレンザーで磨けばピカピカに。
そしてタオルで拭いて、しばらく布に包んで置いておく。
すっかり乾燥してから、包丁専用の引き出しにしまう。
そして有次の肥後守。。。
刃自体、重厚感ある鋼製で、
鞘本体も厚みがあって真鍮独特のとろんとした手触りに、
もうすっかり魅了されてしまった。
糸切りハサミ用の手製の革ケースがぴったりなので、
それを肥後守用にしてワクワクしつつ使っている。
包丁やナイフというのは、男性の嗜好品というけれど、
すっかり私好みの品に、料理も作業も毎日楽しくて仕方がない。。。
良い道具に巡りあう、
そしてそれを使って物をつくる喜び、
しみじみと。。。