前に、太極拳の教室に通っていたことがあった。
昔から太極拳や少林寺拳法など、中国拳法を見るのも好きで、
一度習ってみたい、と近所のクラスに入会したことがあった。
先生は中国でも有名な少林寺拳法の使い手の方。(女性!)
槍や鎌、剣を使った演武も見事で格好良くて。
都内のあちこちに教室があって、丁度近くにも教室があったので入会してみたら、
習いに来てる人は高齢の方々ばかりだった。
若い世代はワタシ一人。
でも、そのうちに、一人、また一人と若い世代の生徒も増えていって、
週に一度、太極拳や剣を使った技なども楽しく教えて貰っていた。
あるとき、そのうちの一人の方が、
「今日は風邪気味で熱があったけど、解熱剤を飲んで来ちゃいました」と。
ワタシ達は彼女に対して、
「休んでもいいのに、学びたい一心で来るなんてすごいね」と言っていたけど、
高齢の先輩方ははっきりこうおっしゃった。
「そういう時は休んでください。あなた方がたかが風邪だと思っても、
ワタシ達世代は風邪でも命取りなんですよ」と。。。
「風邪の症状も高齢だと悪化しやすいですし、寝込んだら体力や筋力も落ちて、
寝たきりになってしまうことだってあるんです。
風邪だったら来ないでくださいね」
何でもないと思ってる自分達と、
生命の危機と感じる世代とのこの差はあまりにも明らかだった。。。
そのときに、これまで「たかが風邪くらい」と思っていたことを初めて実感した。
同じ世代同士の感覚では、
高齢の先輩方の命に関わるような迷惑になったりもするんだ。
そういうこともあったり、
あと、若い世代の生徒達が盛り上がって張り切って練習してしまうと、
元々習ってた高齢の先輩方の練習リズムのバランスが崩れて、
具合が悪くなってしまう方も出てしまったりして。。。
一緒にやることで先に習ってた人達に不具合が出てしまうのかも。。。
そういうこともあって、そこの教室へ通わなくなってしまった経緯がある。。。
世代や年齢の差があっても趣味や活動を一緒にやりたいと思う。
それには他の人達の歩む速度に合わせて、
スピードを緩めたりも必要なんだと、当たり前ながら分かったことで。。。
そして、風邪やウィルスでの体調のことも、
自分でコントロールできると思われることでも、
それが周囲に降りかかったらどうなってしまうか、
と想像もできないと一緒にするのは難しいのだと。。。
家族同士であったり、この場合の趣味の教室という小さな枠の中だったりすると、
理解も体感も出来るけれど、
今のコロナ騒動もそれと同じで、
街や市、国レベルでどんなに「高齢の方や疾患のある方を思いやって」と訴えても、
身近なものとして実感できなければ、
分からないままだったりするのかも。。。
p.s.
仕事を風邪や熱くらいで休めないニッポン、だったもんね。。。
解熱剤を一回飲んだら効き目が長時間、などの薬がいっぱい。。。
「具合が悪いんだったら休んでもいいんだよ」って、
と言ってくれる世の中に変わったらいいなあと思うよね。。。