いつも飲んでいる蓮茶を売っているお店は隣街にある。
自宅から往復で小一時間ほどかかる道のりを、
月に一回はわざわざ歩いて買いにいく。
電車で行けば早いけど、丁度、地下鉄と私鉄線の乗り入れ駅でもあるので、
たかが隣街なのに、日常使いのお茶を買うのに往復の電車賃も馬鹿にならない。
そんなワケでウォーキングをかねて歩いていくのも悪くない。
だけど今年の夏のあまりの暑さに先延ばしにしていたところ、
「いい加減に買いに行かなきゃ、もうお茶が無くなっちゃう」となりにけり。
日ごろ飲むのは紅茶か蓮茶、そしてコーヒー。どれも無くてはならないもの。
お湯を沸かしてポットに入れるお茶やコーヒーが無くては一日が始まらないし、
お気に入りのマグで飲む、あのホッとするひとときは何物にもかえがたい。
「もっと近所にお店があればいいのになあ」と常々話していた。
つい先日お店のサイトの店舗情報を見たところ、
自宅近くの駅ビルの一角にその店が出店していることを知って驚いたのなんの。
オープンしてから一年は経つという。
テクテクと隣街までどれだけ通ったことか。。。
とにもかくにも、「これからは近所で買えるなんてラッキー!」と、
数日前にそこへ行ってみたら、
残念ながら欲しかったお茶はこの店では仕入れていないものらしく、
他店からの取り寄せには一週間はかかるという。
次回から取り寄せてもらうとしても、
やはり隣街まで行かなくてはいけないことになった。
そこへ行くときは、交通量や人通りの多い大通りを歩いていくけど、
天気も良いので多少遠回りだけど川沿いの道を歩いて、
野草や野鳥を観察しながらウォーキングをかねて行けば楽しいかも、と、
欅並木の坂道を歩いていくことにした。
川沿いの道までは、ちょっと寂しい坂道が続くけど、
帰りは大通りから帰ればいいし、疲れたら電車に乗ればいい。
そう思って、てくてく歩いていくことにした。
秋の気配を感じる緑の多い坂道を歩きながら、
野鳥の声に耳を澄ませ、ゆっくりとのんびり歩いていた。
丁度、区境にあたる界隈は、
車道も整備されていないようなでこぼこの道が続き、
舗道の反対側は老朽化した施設の崩れそうな塀がどこまでも続いて、
あちこちで雑草や蔦が伸び放題になっていて、
ぶーーんと羽音を鳴らして飛ぶ、大きな蜂(たぶんスズメ蜂!)の姿もあって、
塀に絡まった緑の群生には近寄らないようにしよう、と、
多少、おっかなびっくり歩いていた。
しばらくして舗道の半分ほどの面が落ち葉で埋まっている箇所に差し掛かったとき、
突然、踏み出した足が期せずして舗道面からがくんと落ちて、
更に濡れた落ち葉にすべらせ、何の受け身をとることもなく、
地面に叩きつけられたように、すってんころりん!派手に転んでしまった。
舗装された舗道と思っていた部分が、
実は半分ほど割れて無くなって段差になっていて、
下の土の地面がむき出しになっている箇所との境目が、
落ち葉に覆われて見えなくなっていたのだった。
あまり人通りが無い道とはいえ、それなりに通行もあるので、
ここまで舗道が手入れもされずに割れているなどとは微塵も思わなかった。
肩から掛けていた鞄も倒れた拍子に飛んでいき、
落ち葉と土まみれになって転がっている。
突然のことで受け身も出来ずに倒れたので頭も身体も痛くて、
少しの間、倒れたまま動けなくなっていた。。。(苦笑)
ようやく身体を起こして、立ち上がろうとしたら、
まったく足首に力が入らない。
何度も立ち上がろうとしたけど、足首の腱がおかしくなっているようだった。
あーー、参った!
バスも通らないような場所。タクシーなんてどこにも見かけない。
助けを求めて電話しようにもダンナさんは仕事中だし。。。
救急車?いや、絶対有り得ない。。。
あ~あ、いつも歩いていく大通りを選んでいれば、
こんなことにはならなかったのになあ。。。
苦笑いの気分でしばらく座り込んだまま、足の様子を確認しているうちに、
少し力が入るようになってきた。
ゆっくり確認しながら立ち上がって、一歩出してみた。
歩けるかも。。。ここから家まで。。。もしくは最寄りの駅、バス停、
いや、そのどれもが遠かった。。。
もう坂を下って、大通りに出たらタクシーかバスに乗ろう。
そこまでゆっくりでも歩いて行こう。。。
そう思って一歩一歩歩くうちに、次第に痛みを感じなくなってきた。
白の洋服の膝のあたりが土と草の色に汚れてしまったけど、
この調子なら案外店まで茶葉を買いに行けそうだ、と思った。
ふと川沿いの道に続く古びた塀の上を見ると、
私をじっと見つめている目があった。
黒と茶のフワフワの毛をした「100万回生きたねこ」のような猫が、
塀の上に優雅に身を横たえて、上から私をじっと見つめている。
ヨレヨレの私はその思いがけない出会いが嬉しくなって、
(こんにちは、いい天気だね。)と心の中で声を掛けながら、
ゆっくりまばたきをしてみたら、
猫もゆっくりまばたきを返してくれたので、
カメラを出して、パチリと撮った。(近日アップします。。。)
追記;10/7 にゃんこさん、アップしました。
実際に会ったときは、もっと茶色の毛のフワフワがあったんだけど、
写真に撮ると、なんだか黒猫さんみたいになってますね。
不思議。
ゆっくりのまばたきは、猫の好意のしるし。
なんて凛々しく、気高く可愛い猫なんだろう。
片耳が桜の花びらの形にカットされているのは地域猫の証だね。。。
物静かな猫に見守られたお蔭ですっかり元気になった私は、
傷みも足の不具合も感じないまま歩き続け、ようやくお店へ到着し、
予定通りにお茶やスパイスを買い、ホッと一息ついた。
目の前の改札をくぐって電車で帰ろうかとも思ったけど、
そのまま通り過ぎて、大通りの上り坂を歩いて自宅へ戻った。
ドアを開けて部屋に入った途端、もう一歩も歩けなくなった。(!!)
靴を脱いだら、右足首が二倍ほど腫れあがって紫色になっていた。
よくこんなので歩いて帰って来れたなあ。。。
帰宅したダンナさんも驚いていた。
それから3日は経つけれど、
足は腫れが甲の部分まで広がって大きくなる一方なので、
休みが開けたら病院へ行くしかない、と観念している。。。
元来、足首が弱くていわゆる浮指でもあるので、
子供時代から捻挫はしょっちゅう。。。
腫れが治まれば、安静にして冷やしていれば大丈夫なんだと思うけど、
これまで何度もひどい捻挫をしたことはあっても、
ここまで足全部が腫れたのは初めてなので、ちょっと不安もある。。。
昔は足の弱さを筋力でカバーできていたけれど、
今は座って作業することが殆どなので、
年々、運動不足も重なり、筋力の衰えも感じるし。。。
親には転ぶとあぶないから、なんて言っておきながら、
自分が転んでちゃ、ホントに世話ないね。。。
この数日というもの、
部屋の中を皇帝ペンギンのような足取りで歩く私。
医者嫌いだけど、
行った方が治りが早いかもしれないなあ、、、と。
しばらく自宅療養に努めようと思う。。。