江戸幕末の武士が着用していた裃(かみしも)の布を
小物入れに仕立てました。

江戸時代、武士に好まれていたという葛布。
和紙のような質感は、折り目正しい裃の装束にまさにぴったり。
明治になり、途絶えてしまった葛布の織り。
繊細な糸を極細番手の布に織る技はもう不可能なのかも。。。
均一な織り、そして「江戸小紋」と呼ばれる極細の縞の型染。

光沢ある葛布は、薺nazunaを始めてから一度だけ出会った珍しい布。
過去にわずかに一点だけ小物入れを制作したきり。
その後、もう一枚、別の葛布を手に入れることができたので、
葛布の重ねが実現できました。


経糸は木綿、緯糸を葛糸で織られたもの。
こちらの縞もやはり織り上げた後に、型染で染めたものです。

武士の装束を小物入れに、ということで、
流しの着物の懐に入っていそうな雰囲気に。。。
竹も幕末から明治頃の煤竹を使って、手彫りで留め具にしています。

表のかぶせの前飾りには、出雲の山桜。
40年以上乾燥させたものなので、赤味がかった艶がお使いのうちに
どんどん色艶が増していきます。

緒締玉は、ローマ時代の古代ビーズ、カーネリアン。
麻糸を四つ組にした組紐に通してあります。
大切なものを仕舞うための道具、小物入れ。
バッグやジャケットの懐に、
お好きな香りを包んだ文香や香袋を忍ばせたり、
アクセサリーやお守りを仕舞ったり、
ジュエリーに添えて贈り物にも。。。
さあ、何を仕舞いましょうか。