小さいときから、親によく言われた言葉の一つに、
「この子は髪質が良くない」って。(笑)
変にくねくねのクセがあって、
サラサラのストレートヘアじゃなかったからだと思う。
何気なかったとしてもそんなことを言うもんだから、
子供はコンプレックスに感じないわけがない。(笑)
大人になって振り返ると、なんでそういうことを言ってたのかなと呆れつつ思う。
母はクルクルのクセッ毛で毛量が異様に多いし、
父は猫っ毛で今や髪が。。。(失礼)
・・・なんだかね、親の無意識内の近親憎悪というのか、
自己嫌悪を子供に投影するのかな。
そういう何気ない言葉の中で、
子供というのは色んなコンプレックスを抱えて成長していくんだなと、
今は客観的に思ったりもできるけど。(笑)
そういうのもあり、ずっとショートやボブスタイルにすることが多かった。
大抵、サロンで担当してくれる美容師さんは、
「髪の量が多いので梳(す)いておきますね」と必ず言う。
と有無も言わさず(?)自動的に髪を梳かれる。。。
元々が微妙にクセもあるし、髪質もしっかりしているので、
カットされた当初はいいけれど半月も経てば梳いたところが伸びてくる。
するとクセも目立ってどうにも納まりきらなくなってくる。
そしてまたサロンで切って梳いて貰うことになる。
あるとき思った。
「なんで、髪の量が多いとダメって言うんだろう・・・。」
平安絵巻物や物語には「髪がたっぷりしているのが美人の条件」とあるのに。(笑)
もうこれからは髪を梳きたくない。
髪を梳くと、内側の短くなった毛先が飛び出してくるし、
クセや髪質が余計に目立ってくる気がしてならない。
そう思ってある時からロングに伸ばすことにした。
レイヤーも入れず、梳きもせず、ただまっすぐに伸ばしていると、
「なんでそんなに伸ばしてるの?」と言われることもあった。
ロングヘアにすると何故か女性陣からはちょっと不評で、
男性陣からは割と好評だったのも不思議な感じで。
この男女差はなんなんだろうか。。。(笑)
くせも毛量もあるので、
ロングヘアにしたらどうしようも無くなるんじゃないかと思っていたけど、
意外や意外。。。
不思議と梳いた部分の毛先が全体に揃ってきた辺りから、
どんどんまとまり始めて、悩みだったうねりもパサつきも無くなっていった。
クセのある髪質だった私はこれまで誰にも
(勿論親にも)褒められたこともないのに、
綺麗な髪ですね、と知らない人から褒められることもあった。(過去ね。。。)
昔、コンプレックスのあった頃は月1~2で美容院に通っていたのに、
綺麗な髪だなんて言われたことは一度もない。。。
まあ、ヘアスタイルや染めた髪色を褒められることはあっても、
逆に、髪の傷みを指摘されることの方が殆どだったかも。
伸ばしていた時期、もちろん放ったらかしにしていたワケじゃない。
サロンでプロに手入れしてもらわない分、自分で手入れをしようと。。。
サロン通いやヘアパック代の代わりに、
髪の手入れ用にとつげの櫛を買った。
上野不忍池そばのつげ櫛の老舗「十三や」で買った粗目の櫛。
他のどんな櫛やブラシで梳くよりも、
これで髪をとくと本当に気持ちが良くて艶が出る気がする。
他に髪のためには特に何もしていない。
リンスもトリートメントもパックもしない。
シャンプーで洗うだけ。
無駄に薬剤を頭皮や髪に付着させない、シンプルに洗うのが大事、と。
勿論シャンプー後はちゃんと完全に髪を乾かして、
櫛でといてから寝る。
これが一番大事だったりする。
髪をコンプレックスに感じていたのは今は遠い遠い昔のように思う。
思春期から若い頃は他にも沢山コンプレックスはあったけど、
年を経るにつれて、
そんな一切合切など何も気にすることなどなくなっていくんだな。。。(笑)
髪は心の状態も表しているような気もする。
気持ちが乱れていると、髪がバサバサにまとまらなかったり。
ゆっくり櫛でとかす髪をいたわる時間を持つと、
オイルなどをつけなくてもまとまってくる気がする。
ヘアコンプレックス全盛期は、
パーマ、ヘアカラー、デザインカットしたりと、
ケアをしていたつもりが徹底的に髪をいじって傷めつけていたんだなあ。
かつては、親からもヘアデザイナーからも(笑)、
さんざんに言われた髪だけど、
大事にしてあげることが出来て良かったなと思う。
ロングヘアにして10数年、そういうのを一切やめたら、
あんなにくねくねのパサパサだったのが、
スルリとした普通の髪になったんだもの。。。
一つちょいと残念に思うのは、
もっと若い頃に気づいてたら良かったのになあ、と。。。
今や長い髪に白髪もちらほらと出つつある。。。
完全な黒髪ロングのしっとりヘアを堪能できたのは、
人生の中の少しの期間だったけど、
まあ、良しとしよう。。。
白髪がどんどん目立ってきても染めたくないなあ、と今は思う。。。
手入れを怠らずに、まとめたり、人に不快感を与えないように気をつければ。
白髪染めはに頭皮や髪に良くないし、
何より身体に、特に肝臓に負担をかけるそうなので。
街で白髪まじりのエレガントな先輩女性らを見かけると、
私もいつか、とちょっとワクワクする気持ちもある。
特にロングヘアの方を見かけると、ちょっと嬉しくなる。
年齢が上がるにつれて、ショートカットの方が多くなる。
ロングヘアで毛染めされないでお洒落を楽しんでおられる先輩方は、
恰好いいですね。
「会社にいると染めないでいるのは無理。ロングも無理」と友人が言う。
ロングヘアも、白髪を染めないでいることも、
同性からも異性からも許されない風潮があるんだとか。
そういう選択もお洒落も自由に出来ればいいのにね。。。
追伸:
先日、義母が生前一度も使わずに箪笥に仕舞ってあったというつげ櫛を頂いた。
随分昔にお土産で頂いたものだろうという櫛は、
こまかな歯が見事な手仕事のつげ櫛。
長年仕舞ったあったので少し材が乾いていたけど、
持ち帰ってオイルで磨いたら綺麗な櫛に生まれ変わった。
粗目の櫛は持っていたけど、細かな歯の櫛を上野の十三やに買いにいったら、
大人気で何か月も待ちが入ってるとかで買えなかった。
残念に思っていたので、とても嬉しく使わせて頂くことに。
大事にしようと思う。。。