猫の集会で出会った白い猫 ~猫と出会う その6~

白い猫は変わらず毎日遊びにやってきて、

仕事で遅くなったときなど、道の途中まで迎えにでてくれる。

家の周りはお屋敷と大家さんの家と数軒の家、

あとは畑と空き地と田んぼと高速道路が通っているくらい。

駅からも、ずっと人気のない道を長いこと歩くので、

夜が遅いと人通りも殆どないのが怖くて、

よく歌いながら帰っていたものだった。

そういうのだったから、

遅くに私が帰ってくるのを、道の植え込みや畑の中で遊んで待っていて、

わたしを見つけるとぴょんと道に飛び出して、

一緒に家路を歩いてくれる白い猫は頼もしくて。。。(笑)


ある日曜日、窓を開け放していたら、れいによって白い猫がやってきた。

その日は白い猫の後ろに黒白のハチ割れ猫がくっついている。

黒白のハチ割れ猫は鼻の下にチョビ髭のような黒い斑点が愛敬あるオス猫。

近所の人は「ヒゲちゃん」と呼んで可愛がっていた。

白い猫はヒゲ猫を私に紹介するようにして、

「ちょっとこいつに飯でも食わせてやってくれ」と言わんばかり。

キャットフードをお皿に出してやると、

キョロキョロおどおどしながら、ヒゲ猫は部屋に入ってきて、

がつがつと食べ始めた。

それを見届けると白い猫はふらりと出ていった。

食べ終わったヒゲ猫は、家の中をクンクンキョロキョロと散策して、

しばらくくつろいだ後、出て行った。


次の日、ヒゲ猫がまたやってきた。

白い猫は一緒じゃなくて彼一匹だけ。

次の日も次の日も、毎日ヒゲ猫はうちにやってくるようになった。

白い猫が面倒見てやってくれ、と言っていた(?)猫なので、

無下にするわけにもいかず、

白い猫のためのカリカリを毎日食べさせていた。


そんなある日、またもヒゲ猫がご飯を部屋で食べていると、

久しぶりに白い猫が縁側の窓からぴょんと入ってきた。

そして部屋の奥でご飯を食べているヒゲ猫を見つけると、

「あ、そうか。お邪魔したな」といわんばかりに、

バツの悪そうな顔して出て行ってしまったのだ。

「ちょっと、ちょっと待って~」と追いかけたけど、

白い猫はどこかへ行ってしまって見つからない。


白い猫にしてみたら、ヒゲ猫にいつもの居場所を横取りされたけど、

仲の良い友達猫なのでそこは譲るよ、とでも言った感じの。。。

その後ヒゲ猫は当然のように毎日やってくるし、

近所の「にゃじら」と呼ばれているでかいボス猫まで

毎日ご飯を催促にくるようになった。

しかも「にゃじら」はご飯を食べ終わったあと、

玄関先に「落としもの」をしていくという失礼な猫だった。

そんな必ずしもハッピーではない猫ライフが続いている中、

白い猫は私のところにしばらく来なくなってしまった。


そうして、この猫たちとの日々も終わりになろうとしていた。

長く住んで愛着が出て来た郊外での暮らしだったけど、

また都内に引っ越すことになった。

そんなある日、大家さんのところに白い猫の飼い主が来ていて、

猫がいなくなったという。

私のところには来ていないし、彼はどこに行ったんだろうと心配になった。


そんなある日、久しぶりに白い猫がやって来た。

飼い主さんが心配するから長居させたらいけないなあと思いながらも、

また連泊するように通ってくる白い猫。

夜ごはんを食べて満足のていで転がっていた白い猫は、

向かいの家の住人の女性が帰ってきた物音を聞いた途端、

ふら~と起き上がって、すべるようにうちの縁側の窓から出ていき、

何もためらうこともなく、お向かいさんがドアを開けたタイミングで

一緒に部屋に入っていった。

「○○ちゃん、おかえり~」という優しそうなお向かいさんの声。

え??○○ちゃん?

そうかー、元々の飼い主さんの他に、

わたしとお向かいさんと、ほかにも別宅がいっぱいあるのか。。。

飼い猫がいろんな家で色んな名前をもらって、

幾つもの家を使い分けているという話を聞くけど、

自分の身に起こるまで、信じられなかったのは事実。(笑)



それでもまた毎日のように私の家へやってくるようになった。

夜、一緒にご飯を食べて(猫はドライフードのカリカリ)、

寝る時間になったらいっしょに布団に入って、

同じ枕に頭を載せて寝ている白い猫。

スヤスヤ眠る小さな後ろ頭を見ていると、

もうすぐお別れになるのが悲しくて。

一緒に連れていけないけれど、ちゃんとしたおうちがあるのが安心だと

そう思うようにして、会えたときには「もうすぐお別れなんだよ」と

話しかけるようにした。


引っ越し間際から、白い猫はぱたりと来なくなった。

空き地の猫集会の中にも姿がない。

いつも遊びに行っている場所にも見かけなくなってしまった。

きっと、あまりにも出歩いて帰って来ないので、

また家から出して貰えなくなったんだな。


引っ越しの日、最後にサヨナラを言いたかったけど、

会えないまま、小さな庭と小さな家を後にした。

ここに引っ越した日、うちに遊びに来ていた姿が思い出された。

元気で暮せよー。



後年、白い猫に会いに行ってみたけど、

勿論、姿はなく。。。

あんなに沢山いた猫たちの姿も一匹も見当たらなかった。

野良猫たちを取り巻く環境が変わってしまったのかも。



夕方など日が落ちると怖いくらいに辺鄙なところだったけど、

そこでの暮らしは猫たちがいたから毎日楽しくて。


「ここは辺鄙なところだから、何か怖い思いをしたら、

いつでも助けにいくから、何かあったら大声で呼びなさいね」

と言ってくれたお屋敷の人や大家さんや近所の人たち、

そして、毎日一緒に過ごしてくれた白い猫がいてくれたから。

夢のように楽しかった。。。

そうそう、ヒゲ猫やにゃじらをはじめとする猫の集会のメンバーたちも、

忘れちゃいけないね。


白い猫とのつらい別れのあと、

前述した「どこまでもついてくる猫」や、

青山骨董通りの「ブルーノート」の前で何度も出くわす

ロシアンブルーの子猫(この子もずっとついてくる)や、

実家の猫たちとの出会いを経て。。。

にゃんこ先生との運命の出会いが待っている。

そしてにゃんこ先生との猫下僕生活へとまっしぐらに向かうのだった。。。


猫との不思議&おもしろエピソードは続きます。。。











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by nazunanet | 2017-06-21 01:20 | | Comments(0)

「袋もの屋 薺nazuna」と「nazuna_antique」作家兼店主の日々のあれこれ。布のこと 麻のこと Antique FOOD 古道具 手仕事する人々のこと 


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