どこまでもついてくる猫 ~猫と出会う その3~

昔、ダンナさんが独身時代に住んでいたところは、

コンビニや商店がそばになくて、

最寄りのコンビニまでバス停でいうと3つ分くらいあった。

夜中まで写真の現像プリントの作業をしていたりして、

(当時はまだデジタルじゃなかった。。。)

仕事が終わって「小腹が空いた」というと、

よく二人で夜中にコンビニまで歩いていった。

あるとき、歩道を歩いていると、

街路樹の植え込みから、ぴょんと若いサバ猫が飛び出してきた。

首輪をしていないけど、目があったら何となく人懐っこい。

「かわいいね~」と言って軽く撫でて、バイバイと手を振った。

ふと後ろを見ると、トコトコ後ろをぴったり歩いている。

「行く先が同じ方向なのかな」と思っていたら、

どんどんついてくる。

信号を幾つも超えて、何百メートルも歩いているのに、

どんどんついてくる。

「迷子になっちゃうからお帰りよ」と言ってもついてくる。

コンビニに入ったら、入り口前でちょこんと座って、

「待っているから」とでもいいたげに。

それで二人で買い物しながら、

「にゃんこはもう帰ったんだろうね」と出てみたら、

ちゃんとそこで待っている。

そして、私たちが家の方へ歩き出すと、一緒に歩いてくる。

どこまでも同じペースでずっと歩いてきて、

最初に出会った辺りまで戻ってきた。

小さな公園があったので、買っておいた猫のおやつを与えて、

彼(?)が食べている間に、

「じゃあね、元気でね。おうちへ帰るんだよ」と小走りに部屋へ帰った。


「可愛かったね。あの子。あの子をゆまちゃんと名付けよう」

見知らぬ猫の名前を勝手につけて、

「一緒に散歩する猫なんて、ホントに可愛かったなあ」などと和んでいた。


ずいぶん経ってから、また夜中の仕事終わりの夜食を買い出しに、

コンビニへ行くことになった。

歩いていて、あの植え込みのある歩道に差し掛かったら、

やはり、ぴょんとあの可愛いサバ猫が飛び出してきた。

また人懐っこい顔で見上げてくる。

「絶対飼い猫だよね」

飼いたいけれど、お互い仕事があるし猫を飼う余裕もない。

しかも、こんなに人慣れしているのは

どこかで可愛がられている飼い猫に違いない。

それにしても、あまりにも自由に歩いているので、

この界隈に暮す地域猫なのかもしれない。

どちらにせよ、サバ猫は悠遊と私たちとの夜中の散歩を楽しんでいる。

そして、何百メートルも歩いて、幾つもの信号を横断歩道を渡り、

またしてもコンビニに到着した。

前は入り口で待っていたけど、今日は一緒に入るらしく、

店内へついて来た。

仕方がないので、ほかの人の迷惑にならないように、

猫をだっこして店内を巡ることにした。

大人しく心地よさそうに私の腕に抱かれて、

物珍しそうにお店の中をきょろきょろしている。

その様子があまりにかわいらしく、

もうどうしようもなく、このまま家に連れて帰りたくなったとき、

コンビニのお客らしき男の人が「すみません」と声をかけてきた。

「はい?」

「その猫、あなたの飼い猫ですか?」

と唐突に聞かれ、少し戸惑った私は、

「いいえ、違います。ついてきたので。。。」

そしたら、その男の人は、

「じゃあ、その猫、僕が飼いますので」と、

腕を差し出して、猫を渡してくれと言わんばかりに。。。

「は、はあ。。。」

私は自分の猫じゃないのは事実なので、

渋々その人に渡してしまった。

その人は嬉しそうに抱っこしてほおずりしている。

「帰ろう」とダンナさんに促され、サバ猫を残して店を出た。

「なんか、解せない。。。」

私の猫じゃないけど、飼ってるわけじゃないけど、

抱っこしていいのは飼い主だけ、と

あの猫との友情を無情に奪われてしまった感じがして。。。

後ろ髪をひかれるように家路について、

その後、何日もお散歩猫のことが頭から離れなかった。

2週間くらい経ったころ、

夜中にコンビニの前を通ったら、お店の前に佇むサバ猫がいた。

「ゆまちゃん」と声を掛けたけど、サバ猫は私のことを忘れたようだった。

誰を待っているのか、

その後も何度かお店の前で佇んでいるサバ猫の姿を見かけたけど、

そのうち、もう見なくなってしまった。

外で自由に暮らしてる猫は、家の中で閉じ込められるのは嫌だったのかも。
(きっと、あのひとのところから逃げ出したんだな。。。)

自由に散歩して、人と出会って。

そんな日々を楽しんでいる猫だったのかも。


夜中に出会って、ほんの少しの散歩だったけど、

楽しかった思い出。。。



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by nazunanet | 2017-06-17 19:08 | | Comments(0)

「袋もの屋 薺nazuna」と「nazuna_antique」作家兼店主の日々のあれこれ。布のこと 麻のこと Antique FOOD 古道具 手仕事する人々のこと 


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