2017年 05月 23日
カンタの白刺繍
藍の厚手木綿の3重に重ねたのを、太い木綿糸を二重にして、
手刺しのどんさ刺しをしていたけれど、
本物のカンタ刺繍を目の当たりにして、
その手触りの優しさと糸目の繊細さに心奪われた。
生成の刺し子糸、一本取りで地刺しする。
江戸刺し子や東北の庄内刺しのような畝よりも、
あまり刺し子の畝を際立たせないように縫っていくのだとか。
かすかに浮き出る畝が繊細で女性的な刺し子。
カンタ刺繍のワークショップに行ってから始めた刺し子。
いつ出来上がるか、どんな風な紋様が出来上がるのかも、
すべて針と糸を持つ手先次第、という自由さにはまっている。。。
病院の長い待ち時間の合間にチクチクしたり、
ちょっとした生活の合間に、
針に糸を通して布にさしたままにしているので、
いつでも始められる。そして、そのまま終えるのが大事。
戦中は勿論のこと、戦後も物資不足や国内の工場が激減したり、
国産の繊維業の衰退もあっただろう、
戦争前までの国産木綿布は糸が豊かで柔らかい。。。
ルーペで織と糸の様子を観察すると、
綿のふわふわした豊かな糸の様子が現代のものに比べて、まるで違う。
手で紡いだ糸は繊維のフワフワがそのまま残って、手触りが柔らかい。
機械紡績だと細く紡げる分、綿の繊維のフワフワがそぎ落とされてしまって、
だから、ぺったんこな布になってしまうんだなと改めて思う。
生成りの布は何でもないものだけど、
漂白されず、染められていない、木綿や麻の繊維そのものの布。
それが自分にとったは魅力でもある。
生成りの布の白いカンタ刺繍、
ちょっとずつ空いた時間に続けていくつもり。