2018年 02月 13日
「麻の重ね」を制作中。追記:江戸期のかや織りなど(&訂正も)
苧麻、おお麻、南部麻などの布で袋ものを作る。
江戸期の南部麻(おお麻、ゴリゴリ麻)はまだハサミを入れていないけど、
是非、「麻の重ね」のシリーズとして仕立てたい。
日本のおお麻と韓国のサンベとくらべると、どちらも大麻布だけど、
韓国のものはモシ(苧麻)のような薄手に作られている。
柿渋染めのサンベ(大麻布)は日本の生成りの”アサ”にもよく合う。
蚊帳として作られたという生成りの”アサ”。
大昔の手織のカヤ織りというのは、”蚊帳”ではなく、
植物の”カヤ”ではないのかな、と思うに至る。
江戸期の蚊帳と、
比較的新しい明治から昭和に掛けての蚊帳は、
織りや繊維の質が随分違っているように思う。
これらの過去のアイテムは、
江戸期から明治・大正までのかや織りの生地で仕立てた小物入れ。
反物になった状態で骨董屋さんの棚に置かれてあった。
聞けば、江戸期のものだという。
”かや織り”と、”蚊帳織り”。
なんとなく同じものと思っていたけど、
江戸期のものという”かや生地”は、
いわゆる今でも”蚊帳生地として織られているものとは、
ちょっと違うものなのかもしれない。
古来から日本で”アサ”というのは
様々な草木から採取した繊維の総称をいうので、
もしかしたら、
大昔にはカヤを採取して繊維を採って、
績んだ糸で織っていたということではないのだろうか。。。
今でこそ、織り素材は豊富に手に入るけど、
江戸時代などは地方によっては資材に困窮していたところもある。
武士や裕福な商家や庄屋では上布の蚊帳を使うだろうけど、
衣服用の糸を自家栽培していたような農家はどうだったろうか。
上布などの着物に使う苧麻(カラムシ)を、
蚊帳のような日用の道具に使うだろうか、と思った。
原っぱや河原に無数に生えているススキや、
屋根材として使用した後の茅を、
繊維をなめして蚊帳として織っていたのじゃないだろうか、と推測。。。
素材や道具さえあれば、手間暇惜しまない日本人。
蚊帳の体裁を整えられるものなら
それくらいは簡単だったのではないだろうか。
繊維を採れるものなら何でも試していたのなら、
きっとあの長い長い茎をもつ、ススキや茅や葦も試したに違いない。。。
*かやは樹木のカヤではなく、イネ科の植物の”萱”もしくは”茅”。
映画「バンビ」に登場する、
ススキにぶら下がった小さなねずみの名前は”カヤねずみ”。(体長5センチ強!)
この反物の”アサ”は比較的新しいもの。
それでも昭和初期頃のものと思われる。
使わずに保存されていたデッドストックの蚊帳生地。
最初はハリもあるし、粗目の織りなのでごわごわ感もある。
でも、使い古された江戸期のかや生地は、
ふんわりとガーゼのような柔らかさ。
袋ものにして大事に使い続けたら、
ふんわりとした手触りになってくるのかも。。。。
(画像の中で)下に置かれた生成の上布は江戸期の紋付の夏の着物。
生成の地に、家紋だけを染めている。
紋様の丸い円の枠を藍染めの紺と
家紋の松の紋様を浅葱色、
丸い紋の中の地色は精錬された”真白”、という色合いが絶妙で。。。
現代では夏の麻(上布)の着物に無地の生成なんて殆ど見かけないけれど、
あえて精錬もせず染めもせず、
家紋にさし色を入れるのが洒落てるなあと思う。
(後日、画像をアップしたいと思います)
そんなかや生地を使ってポーチや小物入れを仕立てたのが、
自分でも結構気に入っている。
作るのはウチくらいなんじゃないかと。。。
おお麻や南部麻、昔の苧麻なども、
そんなプリミティブな風情のものを作りたい。