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ルキノ・ヴィスコンティ 山猫、家族の肖像、ベニスに死す

夜ごはんのあと、録画しておいた映画を鑑賞。


ルキノ・ヴィスコンティ祭りを開催。

 

高校生の頃から大好きだったヴィスコンティやフェリーニの映画。

名画座で上映があると、授業が終わってから急いで梅田の名画座に走ったものだった。

最終上映に間に合ったけど、満員で座れなくて、

通路も後ろも全部立ち見。人々の頭の隙間からなんとか見れる程度。

そんなに大昔のことじゃないけど、人気の娯楽大作のロードショーでは、

映画館で立ち見が出るのはよくある光景だった。

 

近年は映画館は結構空いているらしい。

小さな頃から映画館に通って、

大人になってから週に最低でも1本は観に行っていたくらい大好きだった私でさえも、

この頃はずいぶん映画館に行っていない。。。

 

ものすごく観たいと思う作品がなかったり(見つからなかったり)、

犯罪ものや悲惨な話しは辛いし、結構好きだったホラーやサスペンスものも、

最近は怖いのは苦手になって見に行けない。

全編CGばかりの映画はあとに何にも残らないし、DVDやTV放送でいいかと思ってしまうのかも。

 

先日WOWOWで放送されたのヴィスコンティの映画特集。。。

「ベニスに死す」「家族の肖像」「山猫」を観入るうちに、

一番映画にはまっていた10代の頃の感情がフツフツと蘇ってきた。

やっぱりいいなあ。

ダーク・ボガード、バート・ランカスター、大ベテランが演じる悲哀のある初老の男の姿。

滑稽であったり、もの哀しかったり、俳優らが骨太な人物像を演じているという意識さえ忘れるほどに、

のめり込んで観てしまう。

登場人物の僅かな心の動きが丹念に描かれて、

それは僅かな目の動きだったり、台詞のない余白だったり、長々と映し出される風景だったり。。。

 

そういう心地よい「間」のある映画を久しぶりに観て、

最近の娯楽映画の殆どが、全部セリフやCGで説明して、

話しもテンコ盛りになって、はち切れんばかりになっているのかを実感した。

かつての映画はCGはないので全部セットが組まれていた。

いま考えると、あの大掛かりなセットを全て作っていたんだし、結構無茶なスタントだってCGじゃない。

衣装も小道具も、全てリアル。

青い総タイツを着用して演じている今の俳優達は可哀想だなとさえ思ってきた。

でも、まあタイツやマントものが多いんだから、大差ないのかも。。。(笑)

 

ヴィスコンティの映画のロケ場所や室内ロケやセットも凝りに凝ってたなあ。

イタリアの往年の大女優シルヴァーナ・マンガーノのあの迫力、そして高貴な空気を漂わせた風情、

クラウディア・カルディナーレの野性的なまでの女の魅力。

若き日のアラン・ドロンのエネルギッシュな男前ぶり。美しい人は遠目の立ち姿も美しいと改めて認識。

「ベニスに死す」の美少年タジオを演じた北欧の少年の美貌は、

まるでルネッサンスの巨匠ボッティチェリが描いたヴィーナスに生き写し。。。

「家族の肖像」の謎めいた男を演じるヘルムート・バーガーの鮮烈さ。(後にルードウィッヒを演じる)

どれほどの年月が経とうとも、銀幕の中で惨然とした輝きを放っている。

 

やっぱり、映画っていいなあ、と再び思わせてくれた。

「山猫」の舞踏会のシーンで老公爵が若い義理の姪に誘われて踊るワルツのシーン。

バート・ランカスター演じるシチリアの老公爵が見せる最後の輝き、

あの優美なワルツを忘れることができない。

 

バート・ランカスターは若い頃はアクション俳優だったという。

「山猫」の主人公のサリーナ公爵役に大抜擢したとき、かなり色々メディアで言われたとか。

「アクション俳優に高貴な役が演じられるのか」と。。。

でも、完成した作品を観て、誰もがそんな批判は間違っていたと恥じたことだろうと思う。

アクション俳優時代の作品は知らなかったけど、最近CSでちらりと西部劇の予告があって、

若き日のバート・ランカスターが真っ黒に日焼けしたワイルドないでたちで、

馬を駆るガンマン姿を観て、確かに野性味溢れる俳優さん。

それが老公爵になり、ローマで絵画に囲まれて暮らす、物静かな老教授を演じられるとは誰が思おうか。。。

さすが、プロの仕事であり、

監督の見る目の鋭さ、確かさなんだな、と。

 

また古き名画をちょっとずつ見直していこうと思った次第。


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by nazunanet | 2017-06-15 16:21 | art、 music,movie,etc | Comments(0)

「袋もの屋 薺nazuna」と「nazuna_antique」作家兼店主の日々のあれこれ。布のこと 麻のこと Antique FOOD 古道具 手仕事する人々のこと 


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