2017年 06月 18日
猫の集会に参加 ~猫と出会う その4~
色んな街に住んでいたけど、
一時期、都心から離れた郊外の小さな一軒家に住んだことがあった。
隣には大きなお屋敷があって、
敷地内には大家さんの家もあった。
田んぼや畑に囲まれていて、そばには高速道路が走っている。
殺風景といってもいいくらに、本当に何もないところ。
仲の良い友人らとも遠く離れて暮らすことになって、
少し不安もあった。
「そんなに遠いところで一軒家なんて、何かあったら大変じゃない」
その通り、助けを呼ぼうにも知り合いもいないし。
引っ越す段になって、どんどん不安が募ってきた。
当日は友人らに頼んでのお引っ越し。
新居のそばの、のどかな畑の道をトラックで走っていたら、
遠くのあぜ道に綺麗な白い猫が歩いていた。
「あ、猫がいる」と思わず声を出したら、
まるでその声が聞こえたように、こちらを振り向いた。
豆粒のように見えるほどの遠くの猫と、なぜか目が合ったなと思った。
友人らとエッサホイサとトラックから荷物を家に運び入れていたら、
友人が「来たよ」と言う。
門からトコトコと、さっきの白い猫がやってきた。
真っ白ではなくて、白地にうっすらとグレーのシマが点々と入っている。
チンチラシルバーのミックスかな、という感じの可愛い猫。
引っ越してきた新入りを見にやってきた感じで、
しばらくじいっと見ていたけど、
またふらりと帰って行った。
「また遊びにくるかなあ」と淡い期待を抱いて後ろ姿を見送った。
新居での暮らしにやっと慣れ始めた頃、
ある晩、仕事から帰ってくると、
家の前の通りに数匹の猫が歩いている。
見ると、奥にある小さな空き地(廃材置き場のような)があって、
そこに何匹も猫が集まっている。
猫たちは思い思いの場所に座って、静かに過ごしている。
「これが猫の集会というやつか」
と心の中でワクワクした気持ちがこみ上げてきた。
見ると、あの白い猫も香箱座りして集いの中にいる。
猫たちはどうやら集会が開催されている間は、
通常の警戒するような野良猫モードではなく、
飼い猫のように、おっとりしている。
マタタビでもやっているのか、ぼわーーんとしてくつろいでいる。
ニンゲンの私がその様子を見ていても怖がらないし、
集会の中に入っていっても逃げる素振りもない。
仲間に入れてもらったような雰囲気さえも感じるほどに。
私は白い猫のそばに座って撫でていた。
ゴロゴロと嬉しそうに喉を鳴らすので、
つい抱っこして、そのままダッシュで家に連れ帰ってしまった。
連れ去る私をほかの猫たちがポカンとした顔で見ていたのを覚えてる。
家の中に白い猫を引き入れると、キョロキョロ、クンクンして、
しばらく座布団の上で寝転んだりしていたけど、
そのうち外へ出たがったので、窓から出してあげた。
無理やり、家に連れて来たので嫌われたかも。
もう遊びに来てくれないかも、と少し反省もしたけど、
初めて目の当たりにした「猫の集会」。
その中に入っていっても嫌がられなかったのが不思議だった。
やっぱり猫の集会は何かがある、と確信。。。(笑)
次の日、帰宅してから台所で晩御飯を作っていたら、
庭側の窓の網戸をバリバリひっかく音がして、
見てみると、白い猫が網戸に張り付いている。
開けてやると物凄く興奮したていで部屋に入ってきて、
何かくわえていたものをポトリと畳の上に置いた。
尻尾がちぎれたトカゲだった。
「わー、わー」と騒ぐ私を置いて猫は行ってしまった。
ティッシュに包んでトカゲを庭に放っていたらまた猫が帰ってきて、
今度は大きな蛾をくわえている。
「ああー、ありがとうねー。
いいんだよ。そんなの持ってこなくていいからね」
と言っても、その日から白い猫は数日間というもの、
私にお土産を持参し続けた。
とんぼやセミ、ヤモリなどなど。。。
そしてそれから毎晩遊びにくるようになって、
一軒家での白い猫との暮らしが始まった。。。
続く。。。
今度、白い猫の写真をアップします。。。